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「でも女将はどう思ってるか分かり

「でも女将はどう思ってるか分かりませんけどね。」

 

 

「そんな事言われたらもうあの店には行けないじゃないか。」

 

 

「貴方が行かなくてもいいのでは?有朋でも使えばいい。」

 

 

伊藤も随分桂に強く言うようになった。桂はそれを若干不満に思うも言い返す真似はしなかった。

 

 

「そうだな。必要なら誰かに頼む。【生髮藥】一文拆解口服生髮藥副作用丶服食見效需時多久? @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 :: それにあの店じゃないといけない理由はない。」

 

 

あの店を利用してたのは老舗だし評判がいいから甘味屋に居た三津の口に合うお菓子があると思っただけだ。

 

 

「それがいいです。三津さんが嫉妬で機嫌を悪くせずに済みます。」

 

 

それを聞いて桂はふっと笑った。

 

 

「三津は嫉妬を抱くどころか,今の私に興味も関心も持っていないよ。」自分で言って傷付いた。だがその事実は真摯に受け止めなければならない。それも自分に科せられた罰だ。

 

 

「そうですか?少しぐらい嫉妬は抱くと思いますよ?」

 

 

伊藤はモヤモヤするって言いながら,不貞腐れたような顔をするのが目に浮かぶと口角を上げた。その顔も可愛いですよねと前を行く三津の背中に目向けた。

 

 

「そうだね。ちょっと不満げなあの顔は可愛いな。」

 

 

あとは萩で身につけた口撃さえなければと二人は思った。

 

 

 

 

 

「うわぁ。こうなってたんや。」

 

 

屯所に戻った三津は鏡台で散切り頭と対面した。でもみんなが騒ぐほど酷くはないよなぁと長さの違う左右を見比べた。

これが自分を売り物にしている芸妓や遊女なら大問題だろうけど,お陰様で溺愛してくれる旦那様も居るし仕事も表に出るものでもない。何の問題もないと思う。

 

 

『セツさんは髪は女の命なのよぉ!って大激怒やったけど……。伸びるしな。』

 

 

そもそも髪は女の命と誰が言ったのだ。簪が挿せないのは残念だが伸びるのを気長に待とうと思った。

 

 

「三津,少しだけ切って長さは揃えようか。」

 

 

鏡越しににっこり笑う入江と目が合った。三津はお願いしますと鏡の中の入江に微笑んだ。

 

 

「やっぱ落ち込んどらんな。」

 

 

「セツさん巻き込んだのは落ち込んでますよ?」

 

 

入江は知ってると笑った。それからちょっとだけ動かないでねと短刀を取り出した。

 

 

「それで出来るんですか?」

 

 

「これが使い慣れちょるもん。大丈夫。ちょっと切るだけ。」

 

 

入江は前向いてと三津の頭を抑えて不揃いな部分を慎重に落としていった。本当に器用に切るなと感心しながら真剣な眼差しで手元を見ている入江に見惚れた。

真剣な顔が満足げな笑みを浮かべた。

 

 

「出来た。」

 

 

「すごーい。ちょっと切るだけでも全然違う。」

 

 

小綺麗になったと三津も満足げに笑った。それから短刀をしまった入江は背後から三津を抱き締めた。肩に顎を乗せられ,首筋に吐息がかかってくすぐったいと身を捩る。

 

 

「傍におらんでごめんね。」

 

 

さっきの笑顔が憂いを帯びた表情に変わった。入江もまた後悔に苛まれていた。

 

 

「次からは一緒に出掛けましょ。」

 

 

三津は抱き締めてくる腕を優しく擦った。どこに行くにも一緒だと言われてるようで入江の顔は自然と綻んだ。

 

 

「戸を開けたまんまで堂々と。」

 

 

その声に二人は咄嗟に振り返った。苦笑いの桂がそこに立っていた。

 

 

「堂々としてる方が安心しません?コソコソされるより。」

 

 

にんまり笑う入江に桂はどっちもどっちだと笑って答えた。これも許されている行動の範囲内とは言え,三津は変な汗を掻いた。夫以外の男の人とこんな事をしてるのはおかしいと理解はしているから。

 

 

「私はこれを片付けて来ます。」

 

 

入江は邪魔者は退散しますよと,切り落とした髪を掻き集めて綺麗に掃除してから部屋を出た。

桂は何も無かったかのような笑顔で三津の髪を指で梳いた。

 

 

「器用な奴だな。」

 

 

「はい,切ってもらって良かったです。私は気にしてなかったけど,あんな頭やと小五郎さんが恥をかきますもんね。」

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