「き、局長が!!」
「近藤さん!?どうしたんです!?」
美海は目を見開いた。
「何者かに撃たれました!!」
「なんですって!?」
美海はスピードを更に上げる。
近藤の部屋の前には人だかりが出来ていた。
すすり泣いている者もいる。
「ちょっとすいません!」
「立花さん!!今までどこ行ってたんですか!!」
「局長を助けてくれぇ!!」
美海は辺りを見渡す。皆心配している。
撃たれたって…。
私がどうにかできるのだろうか…。
「先輩…」
市村も人だかりの中にいて心配そうにしている。
美海は市村を見て頷いた。
ガラッ
「こ、近藤さん?」
美海は震える声で中を覗いた。【生髮藥】一文拆解口服生髮藥副作用丶服食見效需時多久? @ 香港脫髮研社 :: 痞客邦 ::
「おう。美海くん…。来てくれたか」
「近藤さん!」
中には痛そうに肩を抑える近藤がいた。
体を起こしている。
「馬鹿。動くんじゃねぇ」
土方が抑えて再び寝かした。
土方以外の幹部は会議室で待機している。
「近藤さん。一体どうしたんですか!?」
「ちょっとヘマしたようだ。肩の骨がいっちまってる」
近藤は小さく笑った。
伏見街道で撃たれたのだが、幸い命に別状はない。
「見せてください」
美海は近藤の近くにいった。抑えている手を退かす。
これは。モロにくらってるな。
近藤の肩からはドクドクと血が溢れている。
肩をグッと押した。
「い゛!」
近藤が顔を歪める。
レントゲンで撮ったら多分肩の骨は粉々なんだろうな…。
美海は眉間に皺を寄せた。
「美海。治せそうか?」
治せそうか?って聞かれても…。
今回ばかりは正直無理に近い。
手術を一人でしたことなんてないし、第一、今までに鉄の鉛をくらった患者なんて診たことがない。
期待の眼差しを土方に向けられる。
「ちょっと…私一人じゃ無理そうです……」
「そうか」
土方は一瞬驚いたように目を見開いたが、直ぐにポーカーフェイスに戻した。
美海ならできるとどこか期待していたのだろう。
なんか……。
すごい申し訳ない気持ちでいっぱいだな…。
「何!美海くん!気にするな!」
近藤はガハガハと笑っている。
「すいません…」
謝ることしかできない。
私が後少し早くに生まれて、手術の仕方もちゃんと習って。
実績も積んで、本物の医者だったら。どうにかなったのかな?
「死ぬわけじゃあるまいし!大丈夫さ!」
「でも…。とりあえず、中の弾は抜いといた方がいいと思います」
「うーむ…」
それから数日が経った。
「早く乗れ」
目の前には大きな軍艦がある。
悩みに悩んだ結果、新撰組の大将、近藤はこの船で大阪城へと移送されることとなった。
大阪城では松本もいる。
そこで療養する予定だ。
「総司。お前も早くしろ」
「やだなぁ…」
労咳に侵されてる沖田も大阪城に移送されることになった。
かなり嫌がっている。
「まぁまぁ。一応ね」
美海は沖田を宥める。
大阪城に着けば、沖田の療養だって松本が薬を作っているためスムーズに進む。
「む~…」
仕方なく沖田は船に乗り込んだ。
「総司。近藤さん。早く良くなってくれよ!」
永倉が手を上げた。
「美海ぃ!二人を早く治してやってくれよぉぉぉ!元気でなぁぁぁあ!」
原田はまた号泣している。
こいつはまた…。
「元気でなってまた会いますから」
美海は呆れ顔で答える。
「待ってるからな」
斉藤はそれだけ言った。
どちらかというと、沖田に向けた言葉なのだろう。
「あっちにはもう伝わってるから着けばなんとかなる。じゃあな。美海。頼んだぞ」
美海は頷いた。
そして船は大阪城に向けて出航した。
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そのため美海は今大阪城にいるのだ。
とりあえず、近藤の治療は現代の時のように松本のアシスタントとしてついた。
どうにか現代とこの時代の医療を混ぜて弾は摘出したのだが、あまり体調は良くならない。
それに対して沖田は以前よりも益々体調は良くなった。