今さらと言えば今さらではあるが宛を陥落せたらしい。つい三週間四週間まえとは状況が劇的に変わってしまっているのを痛感させられてしまう。だがこれで呂軍師もマシになるはずだ、こちらが虫の息というのが大問題だがね。
呂軍師と相談して全軍を動かすはずだ、こちらはどうやって生き残るかが課題だな。陳国の他の城とも連携するということにはなるんだろうが、そもそもの戦力差が厳しすぎる。伝令を下がらせると城壁の上に立って外を見回す。軍営の篝火ではない灯りが南の方に見えた。
「あれは」
「……長平のあるあたりでしょうか、Moomoo Review 2022: Best Free Trading App 城が燃えている?」
側近が目を細めては見るものの、朧気ではっきりとしない。闇夜に浮かんでいるオレンジ色の揺れる光、何かが燃えているのだけははっきりとしている。南の方角でこうも遠くにまで見える炎の揺らめき、林が全焼しているか、さもなくば城が燃えているとしか考えられない。
「偵察を出せ」
「承知致しました!」
もし長平が攻められているならば救援に出なければならん、あそこには楊喜だけでなく劉協も居るんだ。今後の戦略に大いにマイナスになる要因、これを放置はできない。小さめの通用門を開いて、二十騎が出て行った。途中で見つかる可能性を下げ、その上で敵のパトロールを突破できそうな数がこれだ。
緊急で偵察を出したことが李項の耳に入ったようで、夜中だと言うのに姿を探してやって来た。
「ご領主様、長平が魏軍に攻められているとか」
「うむ、もしそうならばこれを救援するぞ」
「御意。野戦となれば圧倒的不利、騎兵のみでの交戦ならば離脱も出来るはずです」
歩兵を連れて行っても戻っては来れない、騎兵だけだと数が不足する。ただ危険な目に遭わせるだけでは出て行く意味がない、どうする。二度と手に出来ないピースをここで失うわけには行かん、ならば答えは決まっているはずだ。「ここで長平が落ちれば籠もっていても勝機など見えん。不利は承知で俺は救援に向かう」
「我等親衛隊、いかなる場所であろうとご一緒させて頂きます!」
李項の命令で親衛隊に重武装での待機が発令された。二日体を休められただけでも大きい、陳国から受けた恩はきっちりと返すぞ。数時間の後に偵察が帰還してきた、無事にたどり着けたのはたったの三騎。
「長平城を攻撃しているのは『買』『胡』『潁川』『徐州』などの軍勢、およそ五万です!」
扶楽は曹真の国軍、長平は近隣の軍で対応というわけか。指揮権が並列しているならば勝ち目はある、徐州の呂軍を散らせば。馬県令が傍に来ると「楊国相は、より遠くを見据えみだりに命を晒さぬように、との考えをお持ちでした。長平城は簡単には落ちません」こんなこともあると諫めて来た。
偵察兵を見て「見立てではどうだ」重大な質問をする。ここで大丈夫と言えば多くの仲間が助かる、それを承知で口を一文字にして眉を背寄せた。
「城門が焼かれ、これを跳ねのける兵力も無く、長くは持たないでしょう」
確かに一日、二日では陥落などしない。だが守り切れると考える方が甘い、どうみても時間の問題でしかない。
「俺は己の正義を躊躇しない。蜀軍に命じる、長平へ向けて軍を進めるぞ!」
「御意。某が道を作るのでご領主様はどうぞ後をついてきて下さい。親衛隊重装騎兵を押し立てて出るぞ!」
城壁を降りると董昴に引かれている馬の隣に行く。振り返り馬県令に「俺が出て行った後に降伏して構わん。無駄に死ぬことは無いからな」言い残すと騎乗する。先行して出て行った親衛隊騎兵二千、汎用装備に追加装甲を取り付けた鉄騎兵となり魏軍の野営陣地を荒らして南下している。
「おお、国家の大将軍とはかように偉大であるか。天よ、どうか勇気あるものに祝福を与え給え」